イタリアの奇跡

2012/2/23 Thursday
Ludovico Santasilia, VP Consultancy & Marketing, Imageware, Milan, Italy
Ludovico Santasilia, VP Consultancy & Marketing, Imageware, Milan, Italy 欧州の経済金融危機が正念場に差し掛かり、イタリアは今後数年間にわたって経済や社会構造における重要な改革の時期を迎えます。

元欧州委員会委員、そして広く尊敬を集める経済学者でもあるマリオ・モンティ氏率いる新政府は、官僚制度の合理化や職業保護を緩めることで競争原理に拍車をかけ、経済成長を高めるための12月発表の財政再建策を可決しました。政府は200億ユーロ(260億ドル)の増税を推し進め、将来の成長の妨げとなる歳出削減案を強引に通過させたのです。

モンティ氏の法律の"犠牲者"は1月20日に承認された自由化措置と戦っています。タクシー運転手はライセンス数を増やす法案に抗議するため、数日間にわたり全国的なストライキを決行しました。薬局数の増加に反対する薬剤師達は、終日店を閉めるストライキを実施し、最低・最大報酬制度の撤廃に反対する弁護士は、今年中に二日間のストライキを計画しています。鉄道労働者は、競争促進案に戸惑い、労働市場の柔軟化に関する議論は、数週間前から政府、事業者団体と労働組合の間で激しい議論が始まりました。

複雑な状況ではありますが、イタリアは重要な強みも持っています。確かに累積債務(政府、家計、非金融企業および金融機関)はGDPの315%を僅かに上回っています。他のヨーロッパ諸国は、スイス313%、フランス323%、米国296%、ドイツ285%となっています。(数字は2009年のもの) しかし、家計の借金はGDPの50%未満と非常に低く、貯蓄率は収入の17%?30%と個人や家庭の純資産においてほとんどの先進国よりも高い数値にあるのです。

それだけではありません。中部と北部イタリアの企業や産業は、革新的、効率的で、グローバルに統合されています。財政赤字は他の多くの先進国と異なり、危機の直後に押さえられました。財政引き締め策が、反循環的な景気刺激や経済成長の抑止効果ももたらしています。これらのポジティブとネガティブな側面が今後、通信業界にどのような影響を与え、市場関係者はこの新しい状況にどう対応すべきなのかを語るのは難しいのですが、いくつかの重要なトレンドを予測することはできます。

ビジネス面について
  • 中小企業の売り上げが減り、大手資本へのアクセスも減る。
  • 起業ブームが起こる。(危機的な状況下において人々は仕事を変えたり、新しいアイデアを見つけたり、人生について再考する傾向にあるため)
  • M&Aやビジネス再編成の数が増加する。
  • 国内レベルで利益をカバーするために輸出が増加する。
  • 新政府の政策には、技術とイノベーションへの膨大な投資と新たな権限が含まれる。 (国の経済の重要要素、e-デモクラシー、公共セクターの効率化、企業のビジネスなど)
  • グローバルおよび欧州企業は、イタリアへの投資のために新政府とマリオ・モンティ氏への信頼を高める。
コミュニケーションの動向
  • ブランドが減り、製品、販売までのリードジェネレーションおよびセールスサポートが増える。
  • 古いメディアへの広告予算が減り、インターネットとデジタルメディアへの広告費(2011年 +12,3%)がその代わりとなる。
  • より多くのデジタルキャンペーンとソーシャルメディアが普及する。
  • (ポータブルディバイスの発達により)ネットで常に誰かと繋がっている状態になる。
  • タブレット、スマートフォン、iPadおよびアップル製品がブームになる。(読者を失っている媒体にも新しい機会をもたらす)
  • より多くのメディアとコンテンツが登場する。
Time Magazine イタリアは長年にわたり、民間の利益が政府に影響を与えるため、政府が変わることはできませんでした。この危機のおかげで、政府はついに過去のやり方を変え、公共負債を制御しようとしています。短期的に見ればそれらの改革は予期せぬ戦いを引き起こすかもしれませんが、長期的には、生産性やサービスの向上、そして低いインフレーションへの助けとなることでしょう。そして、イタリア国民は以前よりその決定を尊重しているように見えます。先日のタイム誌にはマリオ・モンティ氏が「この男がヨーロッパを救うか?」という見出しで表紙を飾っていました。