ニュージーランドのメディア事情

もしあなたがラグビーや新鮮なキングサーモンに興味があるなら、またはエキゾチックな場所で海外ウェディングを挙げたいと思っているなら、ニュージーランドについて少し知っておくと良いでしょう。特にラグビーを愛する人にとっては、10月23日に決勝戦を迎えるラグビーワールドカップ(W杯)2011年のホスト国として、ここニュージーランドは注目の的です。

また日本と同様に、破壊的な規模の大地震が今年2月に発生、日本人27名を含む181名の犠牲者を出した国でもあります。このクライストチャーチ地震での、悲劇的な日本人の死亡者数は、もしかすると太平洋という世界最大の海域の両端に位置する両国間の親密な関係を反映したものなのかもしれません。

日本でもラグビーは人気ですが、私たちの国でも、ニュージーランドで最も愛されたラグビープレーヤー、ジョン・カーワン・ヘッドコーチ率いる日本チームの優れたプレイを観ることは楽しみです。日本チームがオールブラックス相手に得点を上げたときには、ニュージーランド人から大きな歓声が上がりました。このように日本とニュージーランドには多くの共通点があります。

クライストチャーチの大地震とラグビーW杯により、ニュージーランドは世界中から注目を浴びましたが、普段はそういったことはほとんどありません。商業においても、国際的に孤立しているためか独創的な面が強く、起業家が多く排出される国と見なされています。

事実ニュージーランドでは中小企業から国内最大の電気通信会社に至るまで、様々な業界専門のビジネスメディアが浸透しています。これは世界的に見ても、非常に高い割合に当たります。多くのPRやコミュニケーション・スペシャリストが、産業界の意思決定者である経営者たちに影響を与える存在になっています。同時にビジネスメディアの編集者や記者は、産業に特化した情報や話題など、専門分野の記事素材を常に求めています。

ニュージーランドの一般的なビジネスメディアは、ニュージーランド証券取引所に上場している企業に焦点を当てています。それにはいくつかの理由がありますが、ビジネスメディアの制作予算が極めて切り詰められていることも大きな要素のひとつといえます。厳しい出版業界の予算に合わせて記者の人員も減らされているため、存続の危機に瀕しているということもあります。

ニュージーランドは輸出国であるため、輸出関連の記事はビジネスメディアで人気があります。メディアは輸出の重要性を認識しており、食品や日用品が中心である一方、外貨獲得手段となる知的財産への意識が高まっています。斬新なサービスや商品アイデアなど、インパクトのある知的財産輸出に関するニュースについて明確に語ることのできるPRパーソンは、ビジネスニュースデスクでも歓迎されるでしょう。もちろんPR記事を掲載するスペースは限られていますし、誰もが注目する株式市場に興味が集中しているため、そうたやすく記事掲載がなされるわけではありません。

そうは言っても、レギュラーの専門家コーナーや特集に掲載されるチャンスもあるわけですし、PRはそうした機会を利用できるようにアンテナを張っていなければいけません。ニュージーランドにはビジネスの特殊な分野に焦点をあてた、様々な業界紙や雑誌があります。それらは起業家、マーケティングやコミュニケーション向けのものだけではなく、食品、飲料、ヘルス&フィットネス、科学やテクノロジー分野と多岐にわたります。

ニュージーランドは“世界の市場”としての役割から、メディアは食品や農産物に対して強い関心を持っています。それはビジネスメディアに限らず、ライフスタイル関連出版物、テレビ番組やオンライン、食品関連のイベントにまで及びます。

メディア誘致
ニュージーランドでは、記者会見などメディア誘致についてはいくつかの考慮すべきテクニックがあります。ニュージーランドでは英語が主な公用語ですが、マオリ語と手話もまた公用語です。

メディア向け資料は大抵英語で作られますが、時折マオリ語の翻訳が付いていることがあります。マオリの慣習について理解することは、この国を訪れる人にとって非常に重要なことなのです。海外にあるニュージーランド政府の貿易事務所でも、マオリについては重要視しています。

手話は一般社会の中でも今や欠かせないものとなっていますが、ビデオニュースリリースを制作する場合は、手話も公用語のひとつであることを考慮するべきでしょう。2月22日の震災後にクライスチャーチ市長が開いた記者発表会では、彼の肩越しに手話の通訳者がいました。

ところでニュージランドでは、ビデオニュースリリースをメディアに配布することは一般的ではありません。もしメディアがカメラクルーを現場に送ることができない場合には、メディア放送に値する品質の、生映像に限りニュースリリースを受け入れています。

最後に、ニュージーランドのジャーナリスト達は、かなりの皮肉屋で、おそらく多くの先進国に比べてPRの役割はあまり尊重されていません。 それゆえどのようなメディア誘致の場合も、仮定にもとづいた意見よりも、事実や数字に裏付けられたアプローチが重要なのです。これは恐らく世界の他の国と同様でしょう。些細な問題はあるとしても、私たちはメディアとの健全な関係を保っています。適切で、タイムリーかつ中身のあるしっかりとした情報や話題を提供できるとしたら、メディアはいい反応を示すでしょう。