赤い封筒ジャーナリズム

2011/8/23 Tuesday
Maggie Chan, Newell Public Relations Beijing
フジロックフェスティバル '11 ご存知の通り、中国は電気トースターからトラックのエンジンまで、あらゆる製品を低コストで生み出す輸出大国である。しかし、輸出されているのは製品だけではないようだ。

最近、PRやマーケティングにおいて注目を浴びているのが、“赤い封筒(中国語では紅包)”と呼ばれるものだ。報道関係者に対して交通費と称して手渡される、伝統的な中国式謝礼のことである。一般的に中国の記者会見ではプレスキットと共に、お金の入った赤い封筒がジャーナリストのために準備されている。好意的な報道をしてもらうのと引き換えに、この赤い封筒がジャーナリストのポケットに入るというわけである。

中国の経済と共に赤い封筒の金額も上昇しているが、同時に、この中国式謝礼である赤い封筒も輸出され、各国の報道機関を困惑させている。中国企業が海外進出の際に国境を越えるためのフロントラインとなっている香港では、赤い封筒はいつも拒否される。 赤い封筒が存在する社会で問題となるのは、報道のクオリティである。企業にマイナスとなる記事や政府の失態、政治腐敗に関する記事は報道されずに見過ごされてしまう。
もちろん、表向きは政府のプロパガンダ機関や正式なジャーナリスト協会の規則により、悪いニュースを報道しないための赤い封筒は禁じられている。しかし、たとえ一時的に取締りを強化したとしても、状況はまたすぐに戻ってしまうのだ。

サウス・チャイナ・モーニング・ポストの元記者Mark O’Neil氏が、最近のIPREXの集まりで、赤い封筒=公式でない謝礼金が支払われていることに言及した。これは何世紀にも渡って流布する中国の腐敗文化の一部だとの意見を述べたのだ。たいていの中国メディアの経営者もしくは出資者は、政府と深い繋がりを持つ者か、あるいは強い権力を持つ者だ。ほんの一握りのメディア組織だけが、政府とは無関係な戦略的投資家を使って、赤い封筒を厳しく取り締まっているのが現状である。

中国から海外進出した企業は他国でも同じようなシステムがあると考え、有利な報道を得るためメディアに対して多額の交通費や高価なギフトを提供することがある。しかしウォール・ストリート・ジャーナルやその他の同じような報道機関は、プレスキットは受け入れるが、ギフトや赤い封筒は返却している。

長年に渡り赤い封筒を利用してきた中国の企業や代理店は、このシステムが世界では通用しないことに徐々に気づき始めている。中国が香港やニューヨークなど海外に事業を広げるにつれ、今後ますますそのことを実感するだろう。