日本ガラパゴス症候群

2011/7/12 Tuesday
ディレクター ロン・ヒューバー
ここ数年、国内メディアや日本に注目している海外メディアの間で、日本のガラパゴス化についての話をよく耳にするようになった。このガラパゴス化という言葉、最初は世界に類をみないほどに独自の進化を遂げた携帯電話について語ったものだった。

しかし残念ながら今この言葉は、日本が、ゆっくりと、しかし確実に世界から取り残されつつある、というネガティブな意味で使われている。生物学に例えるなら、地理的な障壁は、生物が変異を重ね新しい種が応じるという種分化を引き起こす要因になる。もしこのまま日本がこの姿勢を変えなければ、隠遁国家のように永久的に経済的不安を抱える運命をたどる恐れがある。

日本は江戸時代の鎖国政策にあるように、他国との交流を遮断していた歴史がある。2000年以降、海外への日本人留学生の数は落ち込み、外国人経営者の影響力はますます弱まり、時には日本人に下に見られることもある。日産のカルロス・ゴーン氏は例外だが、日本語を話さない経営者が国民の関心を引くことは稀だ。メディアは例えば楽天の三木谷浩史会長兼社長のように日本語を母国語とする著名人に関心が向きがちである。

年々ひきこもりの数は上昇し、若い世代は海外の音楽や映画にもあまり興味を持たない。産業能率大学が実施した昨年の調査によると、実に3分の2のサラリーマンが海外勤務を望まないと回答しているのだ。

しかし、若い世代が前の世代に比べて怠惰になったというわけでは決してない。この世代は悲観的で、幻滅的で、少し混乱しているのだ。これは、日本がバブル経済の崩壊からなかなか立ち直れていないという事実と、後ろ向きな姿勢の国内メディアや政治家たちに大きな責任がある。

しかし、このトンネルの先には光明もある。ファーストリテーリングのような成功している先進的な考えをもった創造的な企業は、社内の公用語を英語にする取り組みを進めるなど、世の中の流れとは逆に、世界に近づこうとしている。

ポップカルチャーでは韓国ブームが続いている。ラジオではK-popミュージックが流れ、韓国ドラマが毎日のようにテレビで放送されている。ほとんど全てのバラエティ番組にハーフのタレントが出演している。

東日本大震災をきっかけにこのガラパゴス化が今後どのように展開するのかは不明である。日本は今、世界中からの多大な支援を受け、驚異的な底力と回復力を見せている。世界の親日感情は強く、日本の製品や国内旅行の需要は高まっている。

ただ、ふと一抹の不安がよぎる。

今後、国際社会は孤立化から日本を救うのか、または逆にこの復興が日本のガラパゴス化を加速させるのか。

私は今後二つのことが起こると思っている。
一つは今後も世界は日本とのつながりの中で、社会と経済において新しい関係を築いていくだろうということ。

もう一つは、日本人自身が、尊敬され、愛されている国であるということを自覚し、これからの復興に世界の他の国々がどれほど重要な役割を担っているかに気づくだろうということだ。